CBDの危険性を5つの視点から考えてみました。注意点など事前に知っておくべきことを解説します。

ストレスの緩和や精神疾患の治療に有効とされ、世界中で注目されている「CBD」。

CBD製品は日本でも入手することができるため、試してみようかな、と思っている方も少なくないのでは。

しかし安全性が高いとはいえ人間の臨床例はまだまだ少なく、その危険性を指摘する声もあがっているのが現状です。

ここではCBDの副作用や実際の健康被害例など、購入する前に知っておくべきことをご紹介します。

そもそもCBD(カンナビジオール)とは?

CBDとは大麻草やヘンプなどの植物由来の化学成分です。

一般に大麻といえば、マリファナ=危険な薬物・・・違法!というイメージがあるかもしれませんね。

でも、マリファナの主成分はTHC(テトラヒドラカンナビジオール)で、CBDとは別物です。

つまりCBDには、THCのようにハイになる作用はありません。

CBDは人間がもともと備えている身体調節機構「エンドカンナビノイドシステム」を整える効果があるとされて注目されるようになった成分です。

このCBDをヘンプオイルやオリーブオイル、ココナッツオイルなどに溶かし込んだものがCBDオイルです。

CBDオイルなどのCBD製品は医薬品ではないため、販売自体は合法で、誰でも取り扱うことができます。

しかし薬事法により、○○に効果がある!などと販売者が医療効果を謳うことは禁じられています。

CBDの危険性

基本的に安全性が高いといわれるCBDですが、副作用などのリスクが全くないということではありません。

CBDにはメリットだけでなくデメリットもあるのです。

危険性その① 副作用

アメリカ食品医薬局(FDA)によると、

  • 強い眠気
  • 下痢
  • 食欲不振
  • 薬物間相互作用
    (抗生物質・抗てんかん剤・抗うつ剤・ステロイド・抗ヒスタミン薬・免疫抑制剤・抗不整脈剤などとの併用による体に有害な作用)

などが報告されています。

また品質によっては頭痛や疲労感、イライラ感を感じることもあるようです。

さらに「カンナビス誘導体及びエンドカンナビノイドアゴニストの薬理学及び毒物学」の論文によると、高濃度のCBDを摂取するなど過剰摂取による不調「オーバードーズ」症状が出ることがあるようです。

これには以下の症状があります。

  • 喉の渇き
  • めまい
  • 吐き気
  • だるさ

もちろん個人差もありますが、こういった症状が出る可能性もあるということは覚えておくといいでしょう。

危険性その② アレルギー反応

CBDやCBDオイルは植物由来のため、目のかゆみ、鼻水、くしゃみやじんましんなど、植物によるアレルギー反応を起こす可能性があります。

麻田製薬の情報によると、原料が植物であるCBDやCBDオイルには花粉などのアレルゲンや、アレルギー反応を引き起こすヒスタミンが含まれているそうです。

アレルギーというのは、まれにアナフィラキシーショックと呼ばれる重篤な症状を引き起こすこともあるので、ふだんと異なる症状が出たらなるべく早めに医師の診察を受けることをおすすめします。

また、悪質なCBD製品にはCBD以外の植物性物質などが含まれていることが多く、製品を選ぶ段階でも注意が必要です。

危険性その③ 血液の凝固作用を遅らせる?

血栓ができるのを予防する、抗凝固剤として広く処方されている「ワーファリン(ワルファリン)」という薬剤があります。

効きすぎると血が止まりにくくなり、効かないと血栓の防止にならないという容量調整が難しい薬のひとつだそうです。

Project CBDの手引書によると、CBDはシトクロムP450という酵素(薬物代謝や解毒に関係のある酸化酵素グループ)を阻害するため、「ワーファリン」の代謝を遅らせることがわかっています。

つまり体内からワーファリンを排出させにくくするため、無意識のうちに効果を持続したり増強することになるのです。

抗生物質や抗うつ剤と同じように、ワーファリンなどの抗凝固剤を使用している方は、CBD使用の前に医師と相談することが必要とされています。

危険性その④ 海外(アメリカ)での健康被害例

CBD製品による健康被害の報告はゼロではありません。

今知っておくべきVAPE用CBDオイルの健康リスク」によると、ノースカロライナ州の2つの基地にある医療センターで、わずか数か月の間にVAPE用CBDオイルの使用による健康被害が約60件も報告されています。

患者の症状は頭痛、吐き気、嘔吐、見当識障害、動揺、発作など。

これを受けた米陸軍は2020年初めに公衆衛生警告を発しています。

100年以上前から大麻を栽培しているアメリカではCBD製品が大流行していますが、違法成分が配合されているものも多く流通しているようです。

また、いくつかあるCBDの摂取方法の中でも、一番健康被害が多いのは蒸気吸入するVAPEであるといわれています。

CBDオイルの健康リスクと安全性を過去に起きた事件からまとめてみた」という記事によると、VAPEでCBDを摂取すると内臓の消化機能を通さず血流に入るため、経口摂取の4倍の吸収率となるそうです。

吸収率が高く体感するのも早いということは、副作用が出るのも早いということになります。

そして、

  • VAPEに使われるリキッドに含まれる「プロピレングルコール」や「ポリエチレングリコール」などの成分が、過熱により発がん性物質などの有害物質になる
  • 純粋なニコチンを謳っていても、加熱吸入すると重度の肺疾患を引き起こす可能性のある「ジアセチル」などの有毒物質が含まれていることがある
  • VAPE内部の金属コイルを加熱することで、吸入する蒸気の中にクロムやニッケルなどの重金属の相当量が混入すること

などの事実が分かっています。

危険性その⑤ CBDによる肝臓へのダメージ

2019年に発表された論文「マウスモデルによるカンナビジオールに富む大麻抽出物の肝毒性」によると、CBDの過剰摂取は肝臓にダメージを与える可能性があるそうです。

研究では、マウスにはCBDに対する耐性があるものの、大量摂取により明らかな肝臓障害の兆候が見られました。

さらに少量のCBDを継続して与えられたマウスの肝臓にも、腫れや損傷の兆候が見られたとのことです。

動物実験の結果とはいえ、肝臓へのダメージは深刻な問題といえるでしょう。

WHOや厚生労働省の見解は?

2017年11月にWHO(世界保健機関)から提出された「カンナビジオール(CBD)事前審査報告書」によると、

  • CBDの毒性は比較的低く、良好・安全なプロフィールを持ち、一般的に良好な忍容性がある
  • 違法薬物のような依存性、乱用の可能性はない

とされています。

CBDには依存性はないものの、副作用が全くない安全な成分とは言えないようですね。

また厚生労働省では、日本国内で販売されている外国製のCBD製品の一部に違法成分であるTHCが含まれていたことなどの情報を発信しています。

現在国内では合法ですが、厚生労働省としてはCBD製品の違法の可能性やリスクを重要視しており、安全性に疑問を持っている様子が感じられます。

妊娠中・授乳中にCBDを摂取するのは安全?

吐き気や頭痛を抑えたりリラックス効果があるならと、妊娠中や授乳中にCBD製品を使用してみたいと考える女性の方もいるでしょう。

でも、母体や胎児、乳児に影響はないのでしょうか?

現状では妊娠中・授乳中のCBD摂取に関する研究データが少なく、安全性が確立されているわけではないようです。

アメリカ食品医薬局(FDA)は、妊娠中・授乳中にCBDを摂取することはリスクが大きいため、いかなる形でも使用しないことを強くすすめています。

2010年に行われた動物実験では、CBDに含まれる成分により子宮の収縮を抑制する作用が認められました。

胎児の生殖系に問題が生じたり、出産時になんらかの影響が出るという可能性が見いだされたのです。

授乳中の場合は、母乳にある程度の量のCBDが含まれる可能性があり、乳児が摂取してしまうと予想されています。

また、「妊娠中のつわり対策に大麻を使う妊婦が急増」という記事によると、アメリカ全土で薬の代わりに大麻を使用する妊婦が増えているそうです。

つわりの症状は軽減するようですが、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性が高いとう実験結果が出ています。

つわり対策に使用したCBD製品にもしもTHCが含まれていたら・・・

何か起こってからでは遅いため、妊娠中や授乳中のCBD摂取は控えるべきではないでしょうか。

安全なCBD・CBDオイル選び

CBD・CBDオイルには個人差があるとはいえ副作用などの危険性があり、これなら絶対に誰でも安全に使用できる!といった製品はありません。

また製品によっては安全性が低いどころか違法性が高いものなどもあるため、注意が必要といえるでしょう。

100%日本製はない

現在日本で完全国産のCBD製品を購入することは不可能です。

というのも、日本では大麻取締法によりCBDの原料となる大麻草の栽培が禁止されているからです。

また大麻草の輸入も関税法で禁じられているため、国内で一から製造することはできません。

国内栽培・製造と表示されたCBD製品があったとしても、違法栽培の可能性があることになります。

日本で唯一、純度99%の国内製造CBDオイルを販売している「Pure CBD」でも、原料となるCBD成分は海外から輸入しています。

しかしながら、日本の法律では商品製造の最終工程を日本国内で行えば、「国産」や「日本製」と表記して問題ないとされています。

つまり「国産CBD」を謳っている製品でも、原料(成分)は海外から輸入しているのです。

国産CBD=純国産で安心、というわけではありません。

不純物が混入されていることも

CBD製品に関する法整備が整っていないなどの理由で、悪質な製品が販売されていることも事実です。

悪質なCBD製品の中には、本来含まれていないはずのTHCや、自然由来ではない合成CBDが含まれているものもあります。

成分表示が明確でないものや、第三者機関によるテストが行われていない製品などは、健康被害だけでなく違法の可能性もあるため注意が必要です。

安全性の目安とは?

もともと体の中にない成分を摂取するのだから、使用するとなればできる限り安心・安全なCBD製品を選びたいですね。

その目安として「GMP認証」があります。

東京都健康安全研究センターなどのサイトによると、GMPとは「Good Manufacturing Practice」の略で「適正製造規範」のことです。

安全な医薬品および医薬部外品、健康食品の製造に必要不可欠であり、医薬品では古くから義務付けられていました。

GMP認定された工場は「原材料の受け入れから製造、最終製品の出荷に至るまでの全工程において製品が安全に作られ、一定の品質が保たれるようにするための製造工程管理基準」を満たしています。

正しい原料が使用されている、異物混入がないなどの厳しい基準をクリアしているため、CBD製品選びにおける安全性の目安のひとつになるかもしれませんね。

最後に

効果や効能が取り上げられて注目されているCBD製品ですが、実際にはまだまだ研究段階にあります。

現時点では、長期的に使用した際の影響や服用量による副作用、薬物相互作用の違いなどに関する明確なデータはないようです。

また肝心のCBDを含まない製品や、THCが含まれている悪質な製品が出回っているため、知らずに購入してしまうと取り返しのつかないことになる可能性もあります。

規制強化のない現状では、リスクを認識したうえで使用するしかないといえるのではないでしょうか。

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